∞の聴こえる部屋で

関ジャニ∞のこと、主に丸山隆平くんのこと、綴ります

泥棒役者~オレンジ色の幸せ

映画「泥棒役者」、今日までに五回鑑賞しました。大切なことに気づかせてくれる優しい物語だから、心穏やかでいられる時間が多い。加えて、使われている光、色、声、音に好きなところがいっぱいあって、何度観ても観飽きない。好きなところを書き連ねて、泥棒役者の世界に浸ろうと思います。

 

 

光と色に溢れた美しい映像

十月のよく晴れたある一日の物語、その展開とリンクするように、太陽の光や灯りが変化していくところが洒落ていて気に入っている。

元泥棒のはじめ、絵本作家の前園、新人編集者の奥、セールスマンの轟が前園邸で出会い、勘違い劇を繰り広げるのは、昼下がりのこと。南から太陽が深く射し込んで、ふわふわとした浮遊感を感じる。色鮮やかなインテリアとも相まって、キラキラした童話の世界のよう。明るくて、おもしろ可笑しい会話にもぴったりだ。

はじめが幼少期のことを語るころには、太陽が少し西へ移動している。「まだ終わってないニャー」とポーズするはじめの頬が、ほんのりと陽に染まる。寂しさを慰めてくれる絵本があって良かったと、安らげる瞬間があって良かったと、ほろ苦いような安堵するような気持ちになって、はじめのことが愛おしくなる。

初めて観たときから惹かれたのが、絵本の制作に取り組んで夕焼けに照らされながら四人で笑いあう場面。


同じ目標にむかうことで、単に居合わせただけではない関係性が生まれ、心が触れ合ったことを感じさせる象徴的な場面だろう。夕陽と弾ける笑顔の組み合わせに、幸せがギュッと凝縮されている。ユーチューバー高梨が羨ましくて拗ねるのも分かる。西隣の部屋から見ると、前園邸全体が暖かなオレンジ色に包まれていたはず。沈む前の太陽から放たれるエネルギーと温もりに満ちている。

泥棒の則男が姿を現し不穏な空気になるのは、日没のあと。リビングの間接照明に作り出される影が不安をかきたてる。庭の照明や虫の音が静けさを際立たせ、前園邸だけが取り残されたかのように感じられる。鋳物の門扉に象られたシルクハットのジェントルマンが、ちょっとお茶目で別世界への案内者みたいにも見える。

はじめたちが元の暮らしに戻っていくのは、夜遅くになってから。夜が明けた明日、太陽が昇るのか、雨が降るのか、風が吹くのか、先のことは分からないし、幸せが約束された訳ではないけれど、きっと心には小さな太陽が輝いている。童話のティッシュくんたちが太陽の輝く世界に出ていけたように。

  

 

優しくて控えめで寂しげなはじめの声

はじめの声、つまりは丸山くんの声。やっぱり丸山くんの声が好きだと改めて思う。映画鑑賞の間、この声をずっと聞いていられるのだから、まさに至福の時間。特に好きな台詞をいくつか挙げてみる。

溶接中の「これ終わってから、はい …。」この一言に、はじめの人の良さ、真面目さ、慎ましさが滲み出ていて、ここで一気にはじめのことが好きになる。主人公を好きなれると映画も好きになる。

彼女である美沙の手料理を待っているときの「やっぱり、一緒に食べたいと思って。」特に二回目。美紗のことが大好きで、大切で、感謝していて、でも押し付けがましくなくて、しみじみと幸せを噛みしめている感じが微笑ましい。

則男から、美沙に過去をばらすと脅されている時の「彼女に俺のこと、何て言ったんですか。」過去がばれる焦り、不安、絶望と、則男への非難とのバランスが上手いと思う。色を無くしていく瞳にも見入ってしまう。

轟が、奥のことを勘違いしていると知ったときの「えーと、どうしよ。」感情がこもってるんだかこもってないんだか、なんだか分からないけど絶妙な力の抜け具合に笑った。厄介な轟をどう処理して良いのか、本当に困ってるのかな。

童話作りに奮闘しているときに出来上がった迷作「捨てられたゴミ」の物語。寂しかったり辛かったりする台詞を言わせたら、寂しさや辛さが二倍増しになって迫ってくる丸山くんの声質の素晴しさにつきる。誉めてる。

原画を取り上げようとする則男にむかって「あんたのためじゃない。」勇気を振り絞った意思表示。でも内心ちょっとビビってるのも感じる。ここのはじめは今までみたいに振り回されるのと違って、男らしくて格好いい。あ、金庫を開けるときのはじめもすごく格好いい。何かを決意した表情で金庫に向かう横顔に見惚れた。丸山くんて殴られる役が多いよなぁと思ったり…。

豪邸からアパートへの帰り道、則男からもう一度泥棒に荷担するよう迫られたときの「則男さん、まだ終わってないニャー、ですよ。」勇気をもらって強くなれたから、諭すような口調だけれど、強く突き放せない優しさがとても良い。はじめの人となりが伺える。

美沙に少年院に入っていたことを打ち明けるときの「俺ね…。」まるでいたずらをママに告白する男の子の甘えかたみたいだなと思う。愛想をつかされても仕方ないと理性では思っているけれど、美沙なら許してくれると本能で感じていそうな、そんな感じがする。可愛い。母性本能、総動員…。それにしても美沙は素敵な人だな。二人の穏やかな幸せを願わずにはいられない。

この他にも、良い台詞、素晴らしい表現はもっともっとあったと思う。だからこそまた観たくなる。

 

 

息づかいを感じるクラリネットの音色 

はじめと則男が前園邸に侵入した直後の一音目が印象的で、耳からの情報にもかかわらず、グッと画面に引き込まれた。クラリネットの音色には息が混ざる量が多いというか、演奏者の息づかいを強く感じられる楽器だと思っていて、感情が音色にのりやすい気がしている。そこが好きなところでもあり、心地良いと感じるところでもある。クラリネットの音色を聴きたいことも、また映画を観たくなる理由のひとつ。

 

 

 

そして、丸山くん主演での「泥棒役者」舞台化も決定しました。おめでとう!!

丸山くんが好きな舞台に取り組んで、心踊る時間を過ごせるのだと思うと、とても嬉しい。「新しい世界に飛び込む準備」が、舞台のことを言っていたのなら、映画版キャストに愛着はあるけれど、新しい世界も楽しみにしていようと思います。

新しい世界の丸山くんにも会えますように。