∞の聴こえる部屋で

関ジャニ∞のこと、主に丸山隆平くんのこと、綴ります

『トレース〜科捜研の男』第6話の錦戸くん

『トレース~科捜研の男』第6話を見ました。錦戸くんの表情が、今も目に焼き付いています。

関ジャニ∞に嵌ったきっかけは、錦戸くんの『1リットルの涙』です。亜也に好きかもしれないという思いを伝えて、はにかんだ笑顔を見せる麻生くん。もう会えないという亜也からの手紙を読んで、奇麗な涙を流す麻生くん、などなど。錦戸くんの魅力のひとつ、笑顔と涙の演技に惹きつけられたんですね。

一転トレースでは、演じる役柄の性格もあってか、笑顔や涙は控えめで、好きな部類のドラマだし面白いと思いつつ、そこだけは残念だなあなんて思っていたら…とんでもなかった。 

 

錦戸くんが演じる科捜研研究員の真野には、家族を事件で亡くしたという悲しい過去があります。兄が父母と姉を殺害して自殺したとされている事件。真野は疑念を抱いており、当時の鑑定捜査に不満を持ち、真相を解明する機会を伺っています。

第6話では、真野の上司である海塚課長が当時の鑑定に関わり、何やら秘密を持っていることが分かります。海塚課長を騙して呼び出し、理詰めで追い詰めていくさまは、科学的根拠を何よりも重視し、常に論理的で冷静沈着な真野らしく、ふたりの緊迫したやり取りは息をするのも忘れるほど。

強気だった真野が、不意打ちを食らったように目を見張って表情を崩したのが、海塚課長から真野が遺族だと知っていたと聞かされたとき。じわじわと目元が揺らぎ、その目から光が失われていきました。

あなたが心配だったからという、言い訳のような懺悔のような、海塚課長の告白を聞きながら、何も映し出さない深淵のような目で佇む真野。そこまでの巧みな感情表現に、やっぱり錦戸くんは凄いなと思っていたら、それで終わりじゃなかった。

捜査資料を書き写したノートを前に、どうするか決めるのはあなた自身だと言われ、海塚課長を振り返り、凝視する真野。その数秒間。今まで見たことも無いような、とてもひと言では言い表せないような表情をしていました。

不幸な事件のただひとりの生き残りで、被害者の家族でありながら、世間的には犯人の弟でもあって。そんな状況を欠片も経験したことはないはずなのに、錦戸くんの見せる表情の説得力たるや…。

 

突然一人ぼっちになってしまった悲しみ。親戚に引き取られ、姓を変えて生きてきたとはいえ、周りから何を言われ、何を与えられずに育ったか。

兄を信じる真野少年の声に耳を傾けてくれた大人がひとりでもいたのか。事件について誰かと心を割って話すことができる環境が果たしてあったのか。その苦しみ、孤独。

誰も真実を解明してくれないと悟った時の絶望感。自ら真相を解明しようと決意するに至るまでの葛藤。普通の人が過ごす、普通の青春もなかったかもしれない。今、同僚たちと仕事を超えて関わらないように、ずっとそうしてきたのかもしれない。

科捜研に就職するには、勉強も頑張らないといけない。事件の真相を知らなければ、真野の時間は前に進まないけれど、そのためには普通の学生としての努力が必要で、それはとても相反すること。原動力になる思いは、決して明るい未来を導くものではなく、頑張ろうと思うたびに悲しみや苦しみを再認識しなければならない。そこに身を置く覚悟、執念。

海塚課長が、事件に関わりを持っていただけでなく、真野の過去も知っていたという衝撃。それを黙っていたことへの憤り。

何らかの圧力によって、鑑定結果が改竄されたにもかかわらず、抗おうとしなかった科捜研への軽蔑、悔しさ。正義が行われなかったことへの苛立ち。

真相を前にして知ることへの怖れ、亡くなった家族と犯人にされた兄の無念の想い。

わずか数秒の表情に、真野の過去から現在までの、ありとあらゆる感情が滲み出ているようで、錦戸くんの圧倒的な演技力を目の当たりにしました。

いやあ、凄かった。