∞の聴こえる部屋で

関ジャニ∞のこと、主に丸山隆平くんのこと、綴ります

映画「羊の木」観てきました

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錦戸くんの主演映画「羊の木」を一週間間隔で二回鑑賞しました。そろそろ禁断症状が出そうです。また観に行きたいし、きっとDVDも買います。

 

 

生きた羊が成る木、元は邪悪だったのろろ、どこか破綻した部分を持つ元受刑者たち、荒れる海、断崖絶壁、単調なリズムで響く効果音、轟音のハードなバンド演奏……不安をかきたてる要素に満ちていて、心がざわざわする。衝撃の展開に鼓動が早まる。だけど、エンドロールで不思議と気持ちが落ち着いていくので後味は悪くない。弱くて愚かで優しく寛容な人間という存在について、今でもふと映画の場面を思い出しては考えてしまいます。

 

のろろのかぶりものは、前を向いても横を向いてもギョロメでなんか笑えました。

 

 

 

心に残る台詞があります。

「大事なのは居場所があるってことだよ。」

罪を償ってやり直したいと思ったとき、排除されない居場所があるかどうか、ゆるされたと感じられるかどうか。

最近、ネット等でゆるせないという感情むき出しの発言が目につきます。自分と直接関係のない出来事に対しても、ゆるせないが溢れている。異質なものや一度の失敗をゆるせなくて責めてばかりいたら、そのうち自分に返ってくる。自分で自分の首を絞めて居場所を狭めているみたいだと思います。

この映画の美しいところ、元受刑者たちが過去を告白して居場所を得ていく場面は、他人の人生を案じる優しさと、過去がどんなものでも受け入れる寛容さに溢れていて涙がこぼれました。

理髪店の店主は、福元に過去の自分を重ねて更生を願う。クリーニング屋の店主は、大野の強面の外見や過去の罪より、今の朴訥さや生真面目さを信じる。太田には男の人なら誰でも良いのかと突っ込みたくなるけれど、月末の父親は太田の過去も含めて受け入れます。

栗本も動物の死骸を供養することで、心の安寧を得ているように見えるし、小さな塚から芽が出たときはゆるされた気持ちになったかもしれない。

犯罪者が法に則って相当の罰を受けるのは当然のことです。情状酌量の余地があっても、命を奪う最後のリミッターを外せてしまう人たちに共感することも全くありません。でも、そのことと居場所を無くさせることとは違うのでしょう。

多くの受刑者は福元、大野、太田、栗本のようにゆるされてやり直すことを望んでいるはず。だとしたら、クリーニング屋の店主や理髪店の店主側の人間でありたいと思うのです。理想かもしれないけれど。ゆるせないという感情は、直接の被害者や遺族となってしまった人たちのものであって、第三者のものではないと思うから。

杉山は心の悪のおもむくまま道徳心の無い男として描かれ、報いを受けるように殺されてしまいます。

宮腰はどうだったのだろう。月末のことを優しい人だと言ったとき、今度こそやり直したいと思っていたのだろうか。

初めはにこやかな宮腰だけれど、子供たちやバンドメンバーへの距離の詰めかたに違和感があり、のろろ祭りで決定的になります。まるでのろろに導かれるように、宮腰の望まない形で過去が暴かれて壊れていく様子は息がつまるようでした。

祭りでの騒ぎから杉山に勘付かれ、祭りの新聞記事を見た目黒に詰め寄られる。目黒殺しを杉山に目撃されて脅される。杉山を虫けらのように殺害。宮腰は追い詰められるたびに、感情のコントロールができなくて簡単に人を殺してしまう。

さらに月末が口を滑らしてしまい、そのせいで文に拒絶される。月末は元受刑者たちを偏見なく受け入れているように見えていたが、文と宮腰が付き合っていると知ったら、いちばん言ってはいけないことを言ってしまいます。そうかと思えば、宮腰にギターを教えるよとか、罪を償って戻ってくるのを待っているとか、未来を約束するようなことをさらりと言えてしまう。月末は、どこまで本気だったのだろう。

文には執着しない宮腰が、月末には何度も「友達として?」と確認するところや、無防備に眠る月末を見つめるところが怖いようで悲しかった。

結局、宮腰は月末にゆるされることを諦めてしまいます。どうしようもなくなって、のろろに運命を託すしかなくなったのは切ないし、宮腰の弱さでもあると思う。

「僕のことをゆるせないだろうから、どちらかが消えないといけない」「僕は僕でしかいられない。」と訴える宮腰の目が潤んでいるように見えました。宮腰のなかに、今まで希薄だった後悔のような感情が生まれたみたいだった。月末を殺せなかったのも、躊躇いや葛藤で心が揺れる状態を、初めて経験したからなのかもしれない。

月末は宮腰の変化を感じたと思う。「僕たち友達だろう。」と初めて声を荒らげた月末は、今までの飄々とした頼りなげな月末と違って見えました。断崖から海に飛び込もうとする宮腰の腕を咄嗟に掴んだ月末は、この時初めて本気で宮腰の居場所になる覚悟を持ったのかもしれない。

エンドロールで何度も繰り返される歌詞、

'' Just remember that death is not the end. ''

柔らかな歌声に罪も苦しみも浄化されていくみたいで、これは月末から宮腰へのメッセージのように聞こえた。月末は宮腰のことを心で丸ごとゆるして生きていくのだと思います。